イスラエルによるヨルダン川西岸の併合はあるのか?

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最近イスラエル国内で行われた世論調査がショッキングな結果をもたらしたというので、ちょっとした話題になっているそうだ。仮にイスラエルがヨルダン川西岸を併合(領土化)した場合に、そこに住んでいるアラブ人には、公民権を与える必要が無いと考えているユダヤ人の割合が3分の2以上だったというのだ。ヨルダン川西岸の併合事態が非常に乱暴な設定であるうえに、現在そこに住んでいる人たちの権利を全く考慮していないというわけだから、ショッキングといってよい。

この世論調査を実施したのは、ディアログという世論調査会社。ヨルダン川西岸をイスラエルが領土化する可能性に言及したのは、パレスティナ側との和平交渉が行き詰まる一方、イスラエル人によるこの地域への入植が進展し、事実上イスラエルの支配が確立しているからだと、この会社はいっているそうだ。

この調査はまた、現在の状況におけるヨルダン川西岸地区でのユダヤ人とアラブ人の共存のあり方についても聞いているが、その結果を見ると、多くのユダヤ人は、かつての南アフリカで行われていたアパルトヘイトと同じような政策を望んでいるそうだ。つまりアラブ人の居住可能な地域を指定し、そこに彼らを押しこめる一方、公民権以外の広範な人権も制限してかまわないというものだ。

この調査結果には、イスラエル人自身の中にもショックを感じている人がいるようだ。調査にかかわったギデオン・レヴィ氏は、「イスラエル自身が、公然と、恥じらいもなく、罪の意識を感じずに、人種差別をしている」と嘆き、「もしもヨーロッパ諸国でユダヤ人を対象にした人種差別が起きれば大変なことになるだろう。ところがイスラエルでは、ユダヤ人がアラブ人を対象にして人種差別をしている」とコメントした。

ところで、イスラエル国内におけるアラブ人は人口の20パーセントを占める。これらのアラブ人についても、世論調査は強い人種差別意識を示しており、彼らをヨルダン川西岸に移住させるべきだとする意見が多数あったそうだ。(写真はヨルダン川西岸のユダヤ人入植地とそれを警備する兵たち:APから)

(参考)Israeli poll finds majority in favour of 'apartheid' policies  Harriet Sherwood in Jerusalem Guardian





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