オバマかろうじて再選:米大統領選挙

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長距離レースを思わせるような長い選挙運動が終わり、米大統領にオバマが再選された。大統領を直接選ぶ選挙人の数では大きな差がついたが、有権者の投票はオバマの50パーセントに対してロムニーの48パーセントと、きわどい差であった。このことは、オバマが厳しい状況に見舞われていたことを物語っている。その厳しさを乗り越えて薄氷の勝利をつかんだわけだ。

今回の大統領選は、4年前と比べてインパクトに欠けると言われていた。4年前には、変革が合言葉になり、国民はその変革を黒人候補オバマに託したのだったが、今回は変革の言葉はどちらの陣営からも発せられなかった。発せられたのは、互いに互いを中傷しあう言葉ばかりだった。二人とも眉を吊り上げ、両手を振りかざしながら、相手のことを攻撃する。それが悪魔のような形相に見えると言って、小さな女の児まで泣きだす始末だったものだ。

中傷合戦が行われる一方で、政策の相違はあまり目立たなかった。これはロムニーが従来の共和党候補に比べて中道寄りだったこともあり、おなじく中道に軸足を移してきたオバマと、政策上の相違が目立たなかったことに理由がある。

それでも、基本的な政策軸にはまだ差異はあると言ってよい。オバマは政府の役割を重視しているのに対して、ロムニーの方は相変わらず小さな政府を標榜している。だから、もしもロムニーが勝ったら、共和党伝統の新自由主義と市場原理主義的な政策運営が復活するかもしれない恐れがあった。

アメリカにおける市場原理主義者の影響力はまだ失われてはいない。ロムニーが勝利したら、その連中が一挙に復活することもありうる。そうなれば、日本を含めた先進諸国の経済運営に、またぞろ市場原理主義が跋扈するようになる恐れがある。

そんなわけで、今回のオバマの勝利を、筆者はとりあえず祝福したいと思う。(写真はEconomistから)





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