中国の役人たちのセックス・スキャンダル

| コメント(0)
中国のインターネット上に、一人の中年の男が真っ裸になって、若い娘を相手に性的快楽に耽っている場面が流れ、それをめぐって、大騒ぎになっているそうだ。それもそのはず、画面に映っていた男は、重慶市北碚区書記の雷政富、相手の若い女性は18歳になったばかりの愛人だというのだから。

この動画が反響を呼ぶや、重慶市の中枢部は雷政富を解任、それと符節をあわせるかのように、雷政富をめぐる様々な汚職事件が摘発された。その符節のあいぶりからして、これは仕組まれたスキャンダルとの憶測も流れているらしい。

というのも、雷政富のボスはつい最近まで、あの薄熙來だった。薄熙來といえば、その政治手法の強引さが仇となって権力を追われたが、いったん失脚が明らかになると、待ってましたとばかり、様々なスキャンダルが追い打ちをかけるように明らかにされた。権力乱用や妻の殺人事件がそうだが、最近では、多数の少女を愛人にしていたことまで暴露されるようになった。雷政富のスキャンダルも、薄熙來没落にともなう、とばっちりのようなものかもしれない。

中国社会が役人の腐敗に敏感になっている背景には、新しい指導者習近平の政治姿勢が影響していると言われる。習近平が自分のリーダーシップを国民に印象付けるものとしてまず選んだのが腐敗の撲滅ということだった。習近平は、アラブの春を引合いにだし、役人の腐敗が国民の怒りを買い、政権の没落につながることもあるのだと、共産党の同志たちを説教するとともに、国民に対しては、清らかな政治を約束する姿勢を見せている。

雷政富などの高級役人の腐敗摘発はだから、習近平の熱意に応えた演出なのだとする見方もあるわけだ。

しかし、習近平がいくら腐敗撲滅を訴えても、それが共産党同志や一般民衆にどこまで届くか、おぼつかないものを感じる。というのも、習近平が図らずも言及したアラブの春の事態は、中国のメディアではタブー扱いになっているし、また政府高官の公然たる腐敗も、見逃されている実態があるからだ。温家宝の家族による巨額蓄財問題などはその象徴であるし、習近平自身も、自分の親族による蓄財をアメリカのメディアによって取り上げられた。中国の検閲当局は、こうした問題にかかわるネット上のサイトを全面的に封鎖している。

こんなわけだから、雷政富のスキャンダラスな行為を、それを許せないものとして怒る者はいても、それを裁く者の正義をまともに受け止める者はいないというのが、中国の今の状況なのだと、筆者のようなものの目には映るわけだ。


関連サイト:中国を語る 





コメントする

アーカイブ