道路の真ん中に立つ家

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写真は、道路のど真ん中に立っている家。普通の感覚では理解しがたい光景だが、道路建設の現場ではよく見られるものだ。道路整備当局による立ち退き要求に不満をもった住民が、最後まで抵抗した挙句に残る光景だ。かつての日本各地の道路建設現場でもよく見られたものだが、それらはやがて可及的速やかに撤去されたものだった。というのも、住民の抵抗には自ずから限界がある。そこへもって来て、道路当局は一部の住民の不合理な反対行動によって、公共の利益が損なわれると、声高に主張することができる。そこまでいけば、住民のささやかな抵抗など、屁の重みさえもたない。

この写真の現場は日本ではない。中国浙江省大渓の道路建設現場だ。この家の家主は現在67歳と65歳の夫婦だが、彼等は地方当局から示された補償金(26万元)が不当に安すぎるとして買収に応じず、道路が完成してから4年間もその場所に居座り続けているのだという。

この映像は中国版のミニブログ「微博」に載ったものだが、載せた当事者は道路建設にあたった当局者だというから面白い。彼等には、日本の道路建設当局よりはるかに大きな権限が付与されており、道路用地買収に応じない権利者など、一ひねりで屈服させられる力を持っている、だから、こんな七面倒な事態を起こすはずがないし、第一中国の道路建設現場で、こんな事態が生じたことはいまだかつてなかったはずなのだ。

そんなところから、この映像に接した中国のネット世論では、これはもしかしたら当局によるやらせなのではないかという憶測が流れたそうだが、それ以上に、この家に住む老人夫妻に拍手喝さいを送る意見が多かったそうだ。

今の日本では、ほとんどありえない光景だ。(写真はAFPから)


関連サイト:中国を語る





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