アベノミクスの陰で復権を図る市場原理主義

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いわゆるアベノミクスのわからないところのひとつに、一方ではケインズ流の積極財政を正面に掲げる一方、成長のためには規制緩和が必要だといいながら、いままで規制緩和に熱心だった学者たちのうち、市場原理主義者と目されるような連中が大手を振って復活していることだ。この連中はリーマンショックの犯人の片割れだと言われて、一時はエコノミックスの王道から追放されたかにみえたが、どっこいしぶとく生き残りを図っている。

そのチャンピオン格の竹中平蔵氏などは、近頃は安倍政権の成長戦略の指南役に復帰し、しきりと市場原理主義を吹聴し始めた。そのいうところは、小泉政権時代の経済司令塔を務めていたころと殆ど変っていない。

昨夜(2月4日)のNHKテレビでも、ゲスト解説者として登場し、意見を述べていたが、そのいうところは、ミルトン・フリードマン先生の御託宣を鸚鵡返しにしているだけで、全く新味はない。

フリードマン同様に、彼のいうところはつきつめれば、政府による規制をとっぱらって自由競争を導入すること、そのためには既得権益にしがみついている勢力を打破すべしというものだ。

ところが小泉構造改革時代に彼がやったことといえば、労働分野における規制緩和を推し進めて非正規雇用を蔓延させたこと、金融分野では銀行などに勝手放題なことができるようにさせて、その結果深刻な金融不安を引き起こしたことだ。つまり打破されるべき既得権益とは、労働法制によって雇用を守られている連中の権利であり、自由競争の恩恵とは金融機関を野放図に儲けさせ、それが破たんした時には国民の税金で救済することだというわけだ。

つい最近まで厳しい批判にさらされていたこういう主義主張が、たいした検証もなしに大手を振って復活してくるというのは、異常な眺めである。


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