ローソン賃上げアピールのけちくささ

| コメント(0)
先日コンビニ大手のローソンが、安倍首相の賃上げ要請に応えるかのように、従業員の賃上げを発表して喝采を浴びた。筆者なども、こうした企業が増えることは、日本の景気の先行きにとって好ましいことだと思った口だ。しかし、その内容をみると、必ずしも褒められたものではないようだ。

フリージャーナリストの前屋毅氏によれば、ローソンが賃上げの対象として考えているのは、20万人近くいる従業員のうち正規社員3300人だけで、残りの非正規雇用の賃上げは考えていないというのである。ローソンの社長新浪氏が、本当にデフレ脱却のために賃上げをするのだとしたら、非正規雇用の従業員を外すことは理屈に合わない。氏は安倍政権の産業競争力会議のメンバーにもなっており、安倍首相に花を持たせたい気持ちから出たのかもしれないが、たしかに何もしないよりはましかもしれぬが、あまりにもけち臭いやりかただといわれても仕方あるまい。

安倍首相は、経済団体の代表たちにも、デフレ脱却のために賃上げをするように求めているが、こちらはつれない反応をしているようだ。経団連の会長が公明党の代表と政策対話なるものを行った席上、公明党側からデフレ脱却に向けて賃上げに協力してほしいと提案されたところ、デフレが終わったら賃上げしましょうと答えたと言うが、これなどははなから政府の賃上げ要請に応えるつもりのないことを物語っていると、前屋氏は批判している。筆者も同感だ。

なお、今の日本では、非正規雇用の比率が35パーセント以上に達しているという。この人たちの賃金が低く抑えられている間は、消費の延びも期待できないだろう。しかがって、本当に有効なデフレ対策を取ろうとしたら、こうした層の賃金底上げを図る事こそ肝要なことだとは、子供でも分かる理屈だ。

(参考)「賃上げ」騒ぎはデフレ脱却にはつながらない(前屋毅)





コメントする

アーカイブ