ユニクロに見る社員の使いつぶし

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先日社員を使いつぶす「ブラック企業」について取り上げた。ネットで調べると、そういう企業は結構多く、居酒屋を全国展開しているさる有名企業を始め、サービス業や小売業を中心に広がっているようだ。筆者なりにそうした企業の共通点をあげると、成長企業とよばれるものが多いということだ。それらの企業は、従業員の多大の犠牲の上に急速な成長を遂げてきた。どうもそういえる面があるようである。

そうした企業のひとつとして、最新号の東洋経済誌が「ユニクロ」を取り上げている(ユニクロ 疲弊する職場)。ユニクロはいうまでもなく、日本の成長企業の代名詞と言うべき存在である。いまでは国内のみならず、全世界への進出まで視野に入れている。ユニクロをなにがそこまで成長させたのか。その最大の要素こそが、従業員の過酷な労働だというのだ。その過酷なことは、数百人規模で大量採用した新卒社員が、3年以内に半分もやめていることから伺えるという。まさに社員の使いつぶしの典型的な例といえるだろう。

まず労働時間が半端じゃない。社員の沢山いる大型店はそうでもないが、小型店になると正社員の負担は大きく、「毎日14時間拘束」があたりまえ。ところが会社では表向きは長時間労働を禁止しており、破った社員は懲罰をうけるシステムになっているので、正式な労働時間を申告出来ず、事実上サービス残業となっている部分がかなりあるという。

残業過多が問題になるのは平社員についてだけで、管理職は問題にならない。そこで小型店の店長として配置した若手社員にも管理職の名目を与え、際限なく働かせたあげく、残業代の支払いをせずにすませている。いつかマクドナルド・チェーンで問題になった「名ばかり管理職」と同じことがいまだに行われているわけだ。

日本の労働市場が大きな問題を抱えていることは、大分気づかれるようになってはきたが、まだまだ注目されないことが多いのだろう。ユニクロのこのような「無法ぶり」がまかりとおるのは、世間の目を盗んでのことだろうと思う。

金もうけには色々な方法がある。良いものを作って顧客の支持を得るという王道もあれば、費用を他人につけ回しして利益を稼ぐというこすいやり方もある。しかし、従業員をしぼって、その汗血でもって利益をあげようというのは、もっとも下賤な人間のやることだろう。そういう人間は「現代の山椒大夫」というべきである。

関連記事:
若者を使いつぶす「ブラック企業」 http://blog2.hix05.com/2013/01/post-258.html
「名ばかり管理職」判決に思う http://blog.hix05.com/blog/2008/01/post-519.html





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