金正恩の挑発:「北南関係は戦時状態」発表

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北朝鮮の挑発がエスカレートしている。3月30日には、「北南関係は戦時状態に入り、すべての問題は戦時に準じて処理される」と発表し、「朝鮮の尊厳と主権を侵害するいかなる挑発行為に対しても、予告なしに物理的行動を取る」と宣言した。この「行動」には、ハワイやグアムなどの米軍基地や韓国大統領府への核攻撃も含まれている。つまり北朝鮮は、いつでも米韓を相手に戦争するつもりだと言っているわけである。

喧嘩を売られた形のアメリカと韓国は、もし北朝鮮からの武力攻撃があった場合には「厳粛に対応する」とし、実際に武力衝突が発生した場合に備えて、様々な措置をとっている。韓国内にある米軍基地の戦闘準備や、米国本土の戦闘能力を太平洋岸にシフトさせるなどだ。

北朝鮮の挑発に接して、アメリカや韓国はその本意を測っているが、金正恩という男の本姓がなかなかわからないままに、もしかしたら、金正恩は本気で戦争を仕掛けてくるかもしれないと、考え始めているようだ。

というのも、金正恩の行動には予測がつかない部分が多いからだ。父親の金正日の場合には、ある程度行動の予測がついた。しかし金正恩には全く予測のつかない部分が多すぎる。だから、ちょっとしたきっかけで、北朝鮮が危険な行動に走る可能性は十分に考えられるとみているわけだ。

もっとも、今回金正恩がこれだけ好戦的な態度を取っている背景には、米韓が合同で実施した軍事訓練への反発があったようだ。玄関先で派手な軍事的パフォーマンスをされて黙っていては、国民に対してシメシがつかないと考えて、このようなパフォーマンスを取っている可能性がある。

ともあれ大事なのは言葉そのものではなく、行動だと米韓側は考えている。哨戒艦沈没事件やヨンビョン島砲撃事件は、言葉による前触れなしに、いきなり行動に出た。今回は事前に言葉による挑発を行っているわけだが、それが単なる脅しなのか、それとも行動へ取り掛かる前触れなのか、今のところ測りかねているというのが実情だ。というのも、先ほど言ったように、金正恩の行動パターンに不明なところが多いからだ。

しかし北朝鮮は次第に孤立を深めてきている。最近は、庇護者であった中国政府からも見放される動きが出てきた。いま北朝鮮から戦争を仕掛ければ、米韓の強力な軍事力を相手に孤立した戦いをせねばならない。それくらいのことは、金正恩でもわかっているはずだ。だとしたら、今やっている言葉による脅しは、照れ隠しのつもりなのだろうか。いずれにしても、わかりにくい相手である。

武力衝突がもしおきたとしたら、そのとばっちりは日本にも及んでくるのは必定であるから、われわれ日本人としても、対岸の火事を見るようなわけにはいかない。(写真は戦争準備に入った北朝鮮軍:WPから)


 





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