水天宮:水彩で描く東京風景

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水天宮は安産の神として広く知られている。出産を控えた女性が腹帯を求めに来たり、無事赤ん坊を授かった夫婦が、その子を連れて返礼のお宮参りに訪れる姿が絶えない。

水天宮は祭神として安徳天皇と母君建礼門院をお祀りしている。ご存知のように、母子は平家の滅亡に際し、壇ノ浦の海中に身を投げられた。その不幸が人々の同情を呼び、ついには水神の仲間入りをされたのである。世の中に子を持つ親にとっては、母子の不幸はこよなく悲しいものに映った。それ故彼らの冥福を祈ることによって、我が子の安寧を願ってきたのである。

冬の一日、私は人形町を散策するついでに水天宮を訪れた。神社はつき固められて一段高くなった土地の上にある。境内には大勢の親子連れが集まり、嬰児を抱きかかえた人々が一組一組社前に進み出てはお礼参りを行っていた。その姿に絵心をそそのかされて描いたのがこの一枚である。若い父親と老人がそれぞれ子を抱いて並び、母親らしい人に写真を撮ってもらっていたが、果たして彼らはどんな間柄だったのだろうか。(以上2006年記述)

(アルシュ300g、28×38cm 2013年2月)





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