プーチンのいう引き分けとは?

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4月29日に行われた安倍・プーチン会談の席上、領土問題の解決策として、面積を等分に分け合う二等分方式に、プーチンが言及した、と各メディアが伝えている。プーチンは2008年に、ウスリー川の中州にある大ウスリー島について二等分することで中国との国境画定の合意をした事例や、2010年にはノルウェイとの間で係争海域を二等分した例を持ちだしたうえで、「両事例は第二次大戦に起因するものではないという点で、難しい話ではなかった」といったそうだ。

プーチンがどういう意図でこんな話を持ち出したのか、その真意を安倍総理は測りかねていたと各紙は補足している。従来の日本の立場はあくまでも四島一括返還であり、その立場からすれば、二等分方式は余りにも逸脱が大きすぎる。

プーチンのいうとおり、戦争がからまっておらず、長い歴史の上で国境が定まらなかったという事案では、二等分方式もそれなりの意義をもつだろう。しかし、日本の北方領土については、それは当てはまらない。もともと日本の領土であったものを、ソ連が不法に略取したという歴史的な事実があるからだ。

プーチンとしては、領土を二等分することがいわゆる「引き分け」なのかもしれないが、常識からすれば、もともと他人から盗んだ品物を返せと言われて、半分だけ返すからそれで手締めをしようというようなものだ。

日本としては、これらの領土がソ連によって不当に奪われたという歴史的な経緯を踏まえた交渉をすべきである。それを忘れたのでは話にならない。それを忘れてプーチンの提案に飛びつくようでは、売国のそしりをまぬかれない。


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