女性手帳は多産社会への案内状?

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安倍政権が「女性手帳」なるものの導入を考えているそうだ。現在は、妊娠した女性を対象に「母子手帳」を交付しているが、これは母子の健康管理のための手帳であって、出産奨励を目的とはしていない。ところが人口の崩壊現象と言われるような事態を前にして、なんとしても女性の出産率を上げたいという立場から、出産奨励を主な目的として、「女性手帳」を交付するということらしい。

出産奨励が主な目的とは言っても、「産めや増やせや」の一点張りでは、軍国日本時代を思い出させるばかりだというので、子宮がんの受信奨励なども併せて行いたいということだが、そんなものを貰って喜ぶ女性が、果してどれくらいいることか。疑問と云うべきだろう。

女性の出産率が低下してきた本質的な理由は何なのか。そこを明らかにして、問題に対して適切な処置をとる、それが「何々対策」といわれるものの本来のあり方だろう。それを脇へ置いて、「女性と云う者は子どもを作るのが当たり前です、何故なら女性と云う者は、人間に限らずどんな種においても、子どもを産むように運命づけられているからです」とどんなに叫んだところで、女性の皆さんが俄に子供を産む気になるわけもなかろう。

安倍政権は精神論が好きなようだから、自ら用意している憲法改正草案には「家族は助け合わなければならない」と書きこんでいるそうだ。何も社会の助けなんかなくても、家族が助け合って生きていく、それが望ましい姿だ、そう考えているからだろう。そういう立場からは、家族の生活を社会で支えて行こうとする発想はなかなか生まれてこない。ところが今女性たちが子どもを産む気になれないでいるのは、子育てのリスクの大部分を母親自ら、あるいは精々家族ユニットが背負わされ、社会がサポートしてくれないからだ、と云うのが実情だろう。そもそもそれ以前に、若者たちの大多数がワーキングプアに落ち込んで、結婚もできないというのが実情だ。つまり日本の社会は今や、子どもを産み育てる世代にとって生きにくい世の中になってしまっているわけだ。

そんな社会のあり方をほったらかしておいて、いくら「女性手帳」を配ったところで、出産率が上がることなどありえないではないか。多産社会を実現するには、女性の出産をめぐる様々な条件を整えるのが先決だ。それが無くては、実体の伴わない案内状のようなものだ。


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