首都高の空を売って、都心をますます息苦しく

| コメント(0)
安倍政権の経済財政諮問会議が、首都高の莫大な改修費用を賄う財源として、首都高の上部空間(空中権)を売ることを考えているそうだ。安倍総理大臣も乗り気で、早速国土交通省に検討を命じたという。国土交通省のことだから渡りに船だろう。だが、果たしてそんなことが簡単にまかり通っていいのか。もうすこし真面目に考えてもらいたいものだ。

首都高の無様な構築物が日本橋の上にのしかかり、都心の貴重な景観を台無しにしていることはよく知られている通りだ。首都高も老朽化し、大規模改修の時期を迎えたのだから、それをきっかけに、そもそものあり方論に溯って、将来の都心の交通システムを考えなおした方がよい。なにも都心のど真ん中に高速道路を通す必要はないのではないか、という議論もある。そのことによって都心の景観が著しく損なわれ、都市の魅力を損なっているという意見も強くある。このさい、都心の高速道路は取っ払ったほうが、トータルとしての社会的利益の増大につながるのではないか。

そういう議論を一切省いて、今現在あるものをそのまま存続させようというのは非常に問題がある。ただ単に今あるものを存続させようとするにとどまらず、今ある構築物の上に更に別の構築物を重ね、それでもって都心のオープンスペースをますます狭あい化していくのは全く以て能のない話だというべきだ。

そんな話に魅力を感じるのは土木屋の利権共同体くらいなものだ。大多数の人にとっては、都心をますます息苦しくさせる陰謀としか思えない。


 





コメントする

アーカイブ