桜島に渡る:南九州の旅その五

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三日目(6月16日)は8時前にホテルを出発し、まず長崎鼻を訪ねた。小さな灯台があるところだが、海幸山幸伝説で有名なところなのだそうだ。海幸山幸といえば、古事記に出てくる話だが、その舞台となったのがここだというのである。海幸に借りた釣針を失った山幸は、ここから亀の背中に乗って竜宮城に赴き、三年そこで遊び暮らした後に、釣針を取り戻したうえ、トヨタマヒメを妻にして、無事地上の世界に舞い戻ったのだった。その後、トヨタマヒメはウガヤフキアエズノミコトを出産するが、その折にワニの姿となったところを夫の山幸(ヒコホホデミ)に見られたのを苦にし、海底の実家へと戻ってしまうのである。

そんなわけで、ここには竜宮神社なるものがある。また、浦島太郎と亀の像も置いてある。浦島太郎は山幸その人ではないが、亀の背中に跨って竜宮に赴いた点では、山幸と同じである。

その後、屋久杉の民芸品工場と薩摩揚の工場に立ち寄り、午近く鹿児島市内の港からバスごとフェリーに乗って、桜島に渡った。フェリーが鹿児島の港を離れると、我々はバスを降りてデッキに上り、眼前に桜島の全景を眺めることが出来たのだった。朝から曇りがちだった空がその頃には晴れ上がったのだが、桜島の頂には白い雲がモクモクと漂い、あたかも噴火の煙のように見えた。ガイドによれば、今年に入って桜島が噴火した回数は300回を超えるが、それでも昨年よりは少ないのだそうである。

桜島は過去何度も大爆発を繰り返してきた。なかでも大正3年の噴火は大規模で、流れ出した溶岩が周囲の海面に流れだし、島全体が膨張した。そのため、それまで30キロだった円周が40キロ以上に拡大し、大隅半島と陸続きになった。

桜島の山の中腹に赤水展望広場というところがある。すぐ目の前に鹿児島市街を望めるところだ。かつてあるミュージシャンがここで野外コンサートを開き7万人以上の観衆を集めたそうで、この広場は、市の当局がコンサートを許可する代償として、整備させたものだという。広場の一角には、叫びの肖像と題したモニュメント像が設置されていたが、これはその折のミュージシャンの像ということらしい。

展望広場近くのレストランで昼食をとった。ここでは東坡肉は出てこなかったが、あいかわらず豚肉の料理が出て来たように覚えている。


関連サイト:あひるの絵本 




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