なしくずしに無理強い:原発再稼働をめぐる妄動

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安倍政権が原発再稼働にむけて大きく舵を取っている姿を見ると、福島の事故などまるで存在しなかったかのような振る舞いぶりだ。電力各社もそんな安倍政権の姿勢に元気づけられたか、原発再稼働を声高に主張し、原発の見直しを求める世論には、背を向けるばかりだ。

これを、原発再稼働に向けてのなしくずし政策といえるとしたら、今度はもっとひどいことが起きた。これまで問題だらけで、実用化が難しいとされてきた核燃料再処理プログラムが、大した議論もないままに、推進されようとしているのだ。

フランスで再処理して作られたプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)が、関西電力高浜原発に運び込まれた。関電は、高浜原発の再稼働が原子力規制委員会から認められ次第、この燃料を使って、発電を再開する姿勢だという。

しかし、上述したように、プルサーマル計画には様々な問題があり、今現在、安心して採用できる状態ではない。そうした中で、採用計画をゴリオシのように勧めるのは、無理強いと言われても仕方がない。

そもそも、福島の原発事故が深刻化した原因の一つは、原発施設の中に、燃料の再使用を前提として、大量の使用済み燃料棒があったことだ。これらの燃料棒が、もしもなかったらとしたら、事故はあれほど深刻化しなかったかもしれない。

アメリカなどでは、核燃料の再使用は、技術的にもコスト的にも問題が多いとして、使用済み燃料をただちに廃棄するのが主流のやり方だ。なのに日本だけが、大した議論もしないままに、核燃料の再使用にこだわっているのは、一度決めたことは決して変わらないという、日本の原発政策のあり方を象徴するような事例だ。

こんな硬直したやり方がまかりとおるようでは、日本の未来は危うい。


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