安倍首相の憲法理解

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安倍首相が、先の国会における論戦で、憲法学者の権威として知られる芦部信喜教授について、その学説はもとより名前も聞いたことがないと答弁して、世の中の人々をあっとさせたことは記憶に新しい。この事実から人々は、安倍首相はもしかして、日本国憲法をまじめに勉強したことがないのではないかと、いぶかったものである。もしそうだとしたら、こんなに恐ろしいことはない。

自分がけなしている当のものがどんなものか、中身もわからずにけなすほど、自然に反したことはない。そういう、自然に反した政治家がかじ取りを取る国が、果してどんな方向に進んでいくのか、誰もが不安になるのはムリもない話だ。

参議院選挙が公示されたのをきっかけに、先日は日本記者クラブの主催で、党首討論会が開かれたが、この席でも、日本国憲法をめぐる安倍首相の発言が、大方の顰蹙をかった。

まず、生活の党の小沢代表が、自民党の改憲草案を取り上げて、基本的人権は永久不可侵と規定している97条を削るというのはどういうことだと質したのに対して、安倍首相は、「逐条的に聞かれても・・・」といって、答えるのを避けたということだ。

また、緑の風の谷岡代表が、日本国憲法の前文で「日本国民は」となっているところを、自民党案で「日本国は」と変えたのには、どんな意図があるのか、と質したところ、これにもまともに答えなかった。

その一方で、立憲主義に触れて、憲法は権力を縛るものだと認めつつ、しかし今は、「王権の時代、専制主義的な政府」ではなく、民主主義の国家だと、いささか意味不明なことを述べた。

いまの憲法を奉ずる日本が民主主義の国家だから、それが気に食わない、それゆえ王権の時代に戻したいのだ、といいたいのだろうか。


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