デトロイト市の破産処理

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モーター・シティと言われ、かつてはビッグスリーが本拠を置いていた米中西部の大都市デトロイトが、財政破たんから、連邦破産法9条の適用を申請した。負債総額は180億ドル(日本円で約1兆8000億円)に達し、自治体の破産としては過去最大規模になる。

デトロイトの財政危機は、基本的には経済構造の変化に原因がある。かつては自動車工業のメッカとして活発な経済活動の拠点となり、人口は180万人を数えたが、自動車産業の斜陽化によって人口は激減、今では70万人にまで減少した。それにしたがって歳入が激減する一方、負債はそんなに減らず、今回の破綻に至ったものだ。その点では、かつてアメリカの鉄鋼業のメッカだったピッツバーグが、鉄鋼業の衰退にともなって、ゴーストタウン化したのとよく似ている。

デトロイトの破綻処理がどのように進むのか筆者には詳しくわからないが、連邦破産法9条というのは、公的機関が対象ということから、再建を前提にしたものだという。その点、民間の破産処理が、まずは11条で再建をめざし、それが失敗した時には7条で清算されるのとは異なっている。

債権の主な手段は、債権者に債権の大部分を放棄してもらうことだ。これまでの、他の都市の例では、最大70パーセントの債権放棄がなされてきたという。デトロイトの場合は、最大90パーセントの債権放棄が求められるだろうと言われている。

債務の内訳をみると、公債や年金資金などで、公債を保有する企業や年金受給者に対して、大規模なカットがせまられることになる。

そのかわりに、債権者たちは、市に対して、財産の売却や行政サービスの大規模カットを求めて来ると思うが、アメリカの場合は、自治体の財産は無闇に売却されるべきではないという認識が行き渡っており、結局は債権者たちの債権放棄が最大の要素になりそうだという。

一旦破たん状態に陥ったピッツバーグ市の場合、長い時間をかけて復興した経緯があるが、デトロイトも同じように復興することができるか。今後の破綻処理に大きくかかっているといえよう。

(参考)Motor City Meltdown: Long Road Ahead for Detroit's Record Bankruptcy By Nate Rawlings:TIME






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