米駐日大使にキャロライン・ケネディさん

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アメリカの新しい駐日大使にキャロライン・ケネディさんが就くことが決まった。あのJ.F.ケネディ元大統領の長女であり、政治的なキャリアが全くないのに一定の政治的影響力を持ち、オバマ大統領とはごく近い関係にあるといわれる。受け入れる日本政府としては、日米同盟重視の現れだとして表向きは歓迎する姿勢だが、外交に関する経験もなく、政治的能力が全く未知数なこの女性を、どのように扱ったらよいのかと、懸念する向きもあるようだ。

米駐日大使といえば、かつては大物政治家が就くことが多かった。モンデール氏は直近に副大統領まで務めた人物だし、フォーリー氏は議会の実力者だった。それが最近では、現職の大統領と個人的に親しい人の中から、いわば論功行賞のような形で天下ってくるケースが目立ってきた。いまのルース大使はオバマ大統領の金づるだといわれているし、キャロラインさんもオバマ大統領の誕生に一役買ったことが知られている。

それにしてもなぜ、キャロライン駐日大使なのか。彼女をこのポストに任命することの背景には、アメリカ側にそれなりの思惑があるのではないか。そんなふうに勘繰りたくなるのは、筆者のみではあるまい。

キャロラインさんは、もともとハト派が多い民主党の中でももっともハト派のイメージが強い人だ。ところが現下の日本はタカ派の天国と化し、上空にはきな臭い空気が立ち込めるようになってきた。そんな日本に一羽の美しい鳩を飛ばせ、タカどもの飛躍ぶりを牽制しようというのではないか。

また、日本は依然として男女差別の強い国として知られる。女性政治家は依然として絶対少数派であり、それかあらぬか、日本の政治家は女性に対してつれない。少子化が大変だなどと言っている連中に限って、女性に対しては横暴で、子どもを産むのは女の定めだなどと声を大にして叫んでいる。まったく以て見苦しい限りだ。それを何とかして改めさせねばならん。それにはキャロラインさんの神通力が効き目を発揮するに違いない。そんな勘定が働いているのではないか。

男女差別がいまだ根強く残っているということは、日本という国が中世的な(野蛮な)束縛から自由になっていないということだ。先日は刑法の運用をめぐるそんな束縛について、ほかならぬ(日本人が本音では野蛮だと思っている)アフリカの国家代表から指摘されて、ぶっきれた日本人外交官がいたが、こんな外交官を持っている日本という国を、もっとも大事な同盟国にもっているアメリカという国にとっては、不幸なことといわねばならない。

キャロラインさんなら、そんな不幸の痛みを、少しでも和らげる役目を果してくれるのではないか。日本国の安倍総理大臣に、アメリカの大統領が面と向かって言えないことでも、賢明な女性であるキャロラインさんなら、波風を立てないで、そっと忠告することもできるのではないか。オバマ大統領がそう思ったとしても不思議ではない。

ともあれ、折角アメリカ女性を代表するチャーミングな人を駐日大使に迎えるのだから、日本社会もこれをきっかけに、腰を据えて、国際社会の責任ある一員になれるよう、努める必要があろうというものだ。(写真はNTから)


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