護衛艦出雲は軽空母か?

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日本政府は海上自衛隊の新たな戦力たる護衛艦「出雲」を、今年の8月6日に、海外のメディアにも披露した。政府の説明では、これはヘリコプターの搭載を主な機能とした、もっぱら護衛ない専守防衛のための艦船であって、決して攻撃用の艦船ではない、と説明しているが、隣国の中国やロシアはそう見ていないようだ。中国は、この艦船が容易に航空母艦としての機能を果たし得ることを理由に、これを日本政府が主張するような護衛艦ではなく、軽空母と見做しているようだし、ロシアに至っては、同型艦の建造予定が別にあることを根拠にして、日本の再武装即日本軍国主義の復活に強い懸念を表しているという。

中国がこれに神経過敏になるのはわかるような気がする。尖閣諸島を巡って日中間に軍事的な緊張が高まり、いつ軍事衝突が起きてもおかしくないような雰囲気の中で、敵対する相手国の軍事能力に関心が強まるのは自然なことだ。しかし、ロシアまでこの動きに過敏になるというのは、どう考えたらよいのか。

中国やロシアのメディアの論調を見ていると、彼らが現在の世界秩序の根本を、第二次大戦の結果として見ていることが、強く伝わってくる。第二次世界大戦の結果とは、連合国が枢軸国に勝ったということである。それを日本について当てはめると、日本は敗戦国として、戦争能力を去勢されたということを意味する。日本が敗戦国としての屈辱を味わうのは当たり前のことであるし、また中国やロシアを含めた戦勝国が日本の再軍備に待ったをかけるのも当たり前のことだ。それ以前に、日本は敗戦国として、今後二度と戦争を起こさないと誓うべきだし、いわゆる平和主義に徹しなければならない。再軍備をめざすなどはもってのほかなのだ。

こうしたわけであるから、良い悪いは別にして、中国やロシアが、日本の軍事能力の向上に神経を使うのは、ある意味当然のことといってよい。

その当然のことを日本政府としてもわかっていないわけではなかろう。わかっていながら、相手をいたずらに刺激する。そういう構図が、今回の事態からは浮かび上がってくる。

安倍自民党政府はどうやら、中国に対して当面は強気の態度をとり、戦争も辞さないという姿勢を示すことで、お前たちからは舐められないぞ、というメッセージを発しようというのだろうか。

なお、軍事についての日本の伝統的な枠組からすれば、出雲のように旧国名を冠すべき艦船は、戦艦である(大和や長門のように)。それに対して航空母艦は、飛龍とか雲竜とかいった架空の想像物の名称が主につけられたが、中には加賀とか赤城のように国名や地名を冠したものもあった。今回どういう理由で出雲と云う名が、この艦船につけられたか。その真意はいま一つ明らかでない。(写真は共同から)


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