東京オリンピックに何を期すか

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2020年東京オリンピックが決まったことで、スポーツマンやスポーツを愛する多くの日本人が大喜びをしているところだが、そうした人々以上に大喜びしている人たちがいる。安倍総理大臣を筆頭にした政治家の皆さんの一団だ。彼らは、日本にオリンピックがやって来ることは、日本人を団結させるいい機会になるし、それ以上に経済にプラスの影響を及ぼすと期待している。なにしろ、政治家たちは口を開けば、東京オリンピックがどんなに日本の経済を活性化させるか、財布の勘定ばかりしているように映る。

たしかに、昭和39年の東京オリンピックが、日本経済にもたらした恩恵は巨大なものだった。このオリンピックをばねとして、新幹線が走るようになったし、高速道路ができたし、また地下鉄網も整備された。このオリンピックを境にして、日本は戦後の復興を完成させ、本格的な都市社会に突入するとともに、国際社会にゆるぎない地位を確立したりもした。その恩恵と言うべき巨大な効果を、もう一度実現させたい。なにしろ日本は、20年にもわたる低成長のおかげですっかり自信を無くしてしまった。自信をもたらすものの大部分を経済が占めるとすれば、東京オリンピックはそれを再活性化させる絶好の機会だというわけだろう。

そのこと自体は責められるべきことではない。しかし、それだけでいいのか、というとそうではないだろう。第一、銭勘定ばかりしている姿は大国には似合わない。大国には大国としての風格が必要だ。その風格を世界に向かって示すことで、日本と言う国がますます世界の皆さんから尊敬されるようになる。そういう高遠な理想に、政治家の皆さんはもっと燃えて貰ってもいいのではないか。

現状は世界中から尊敬されるどころか、隣近所の国々といがみあい、小競り合いを引き起こしては、憎まれている始末だ。

前回の東京オリンピックの合言葉は平和と繁栄だったが、実際には繁栄つまり経済的な発展のほうが優先された。その結果日本は経済大国に向かって邁進した。今回の東京オリンピックでは、まがりなりにも世界の大国になった日本が大国に相応しい風格を身に着け、それを世界中の人々に示すことで、尊敬されるような国になることを目指すべきだ。

東京都にも、臨海開発などのインフラ整備に夢中になるばかりでなく、風格ある都市とは何かについて思いを致し、街並や文化や芸術など多様な面で、世界中の観光客が真っ先に行ってみたいと思うような、そんな素敵な街に東京を育てていくという、遠大な気持ちを持ってもらいたいものだ。(写真は大喜びする安倍総理たち:AFPから)







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