私は神になりたい:火星への片道旅行

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世の中には人間的なスケールでは測れないようなアイディアを抱く人がいまでもいるようだ。火星へ人類のコロニーを建設しようという途方もないアイディアを抱き、それにとどまらず、そのコロニー建設のパイオニアを実際に募集した人がいるというのだ。その人とは、オランダ人のバス・ランスドルプ(Bas Lansdorp)氏。氏は2023年度を目標に、最初のパイオニアを火星に向けて送り出したいと計画し、その要員を募集したところ、世界中から20万人以上の応募があったという。

もしも、この計画がとんとん拍子に運んで、人類初の火星ミッションのパイオニアが火星に向けて出発する段取りにこぎつけたとしたら、その後にはどんな事態が待っているのだろうか。

計画によれば、地球を旅立ったパイオニアたちは、うまくいけば、七か月かけて火星に到達する。だが到達した後には、過酷な自然条件を生き延びねばならない。なにせ、大気の殆どは二酸化炭素で、マイナス55度の超低温の世界だ。しかも、ここが肝心なことだが、彼らには地球に戻る選択肢は用意されていないのだ。ということは、生涯を火星で過ごすのみならず、後発の人々のために、火星を少しでも住みやすい環境にするように努力することを期待されているわけだ。

こういう人って、どういう概念でとらえたらよいのだろうなどと、筆者のような想像力の乏しい人間は考え込んでしまう。

これらの人たちのおかげで、もしかして火星が生命の住める世界になっていくのだとしたら、彼らは、彼らに続いて火星に生きることになる生き物たちのパイオニアになるということだろう。場合によっては、男女がペアになって火星まで旅し、火星で子孫を作るということも考えられる。

そうなったら、どうなるのか。さよう。彼らは火星の新たな命の始原となるわけだ。ということは、彼らは火星にとっての神という位置づけを獲得できるわけだ。

だから、このミッションに参加する人々は、考えたかによっては、ただ単に地球から送られる火星コロニーのパイオニアたるに留まらない。彼らは火星の神になるために火星に行くことにもなるわけだ。

それ故、このミッションに向かって手を挙げた人々は、「わたしは火星の神になりたい」と思っている人なのかもしれない。

ところでこのミッションに向かって手を挙げた人は世界規模に渡っているらしいが、そのなかに日本人はあまり含まれていないらしい。日本人には、私は神様になりたいなどと寝言をこくような輩は、そう多くはいないということか。


関連サイト:太陽系の科学 






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