台風26号のすさまじさ

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今回の台風26号は平成16年の台風22号以来の超大型台風だということで、各地に大きな災害をもたらしたが、特に伊豆大島では大勢の死者・行方不明者が出るなど大惨事となり、いたましい限りだ。筆者の周辺では幸いことなきを得たが、それでも台風のすさまじさを思い知らされることは起きた。

歩いて10分くらいのところに長津川調整池というのがあって、普段は付近の人の格好のジョギングコースとなっており、筆者も毎日の散歩コースとしているのだが、それが文字通りの池になった。脇を流れる長津川という川の水位が大雨のためにあがり、そこから大量の水が流入した結果、満々と水をたたえた池と化したのだった。もともとは水害に備えた調整池として作られたものなので、池となるのはうまく機能している証拠なのだが、本当に池となった姿を見せられるのは不思議な気持だ。

水の量は並大抵ではない。雨が止んで何時間かたったあとだったから、一部は流れ去ったはずだが、それでも高さ3メートル以上はあるはずのコンクリート製の四阿の屋根が、ほぼ水没しかかっている。おそらく一時は水没したに違いない。普段の時には、池あり、フィールドあり、遊具スペースありと、けっこう変化に富んだ眺めだったところが一面の水となり、水の上には膨大な量の枯草が浮いている。

竣工記念の碑文には、この調整池がなかった頃には大雨が降るたびに水害に見舞われたとある。だから今回も、この調整池のおかげで水害が防げたのかもしれないわけだ。

こんなことを思いながら、筆者は平成16年の台風を思い出した。その当時、筆者は東京の中小河川の治水を担当する仕事をしていたので、台風が接近すると聞くや、朝から土曜出勤して、もしもの事態に備えた。当時の日記を繙くと、台風は10月9日土曜日の午後伊豆半島に上陸し、関東各地に激しい風雨をもたらしたが、雨の勢いは午後5時過ぎにピークに達した。このままだと当然、神田川など中小河川の水位が上がって氾濫する恐れがある。そこで、当時切り札としてあったのが、環状7号線道路の地下にある巨大な調整池(トンネル)と、石神井川流域にある調整池だ。筆者が担当していたのは神田川の地下調整池だが、これにどのタイミングで水を落すかがひとつの問題だった。あまり早く落し過ぎると早めに満杯になって、本当のピーク時にはもう入らないということになりかねない。入れる時には1時間半で満杯になるのに、入れた水を掻き出すには最大三日もかかるのだ。それで、いつ入れるか非常に悩ましい思いをしたわけだったが、なんとかうまくいって、結果的にはピーク時に水を入れたことになった。おかげで神田川は氾濫せずに済んだ。

こんなことを思い出したのも、今回の台風のすさまじさがなさしめたところかもしれない。







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