暴走する安倍政権

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最近の安倍政権を見ていると、有効な抑止勢力が存在しないことをいいことに、やりたい放題という印象を受ける。さまざまな点で問題のある「特定秘密保護法案」を巡るやり方などは、まさしく暴走というべきだ。向かうところ敵なし、敵があっても踏み潰して進む。誰がどんな批判をしようとも、そんなことを聞く耳は持たぬ。そんな不遜な態度を感じさせる。

特定秘密保護法案の問題点は、多くの識者の指摘するとおり、民主主義の精神を踏みにじるということだ。この手の法律を持っている国は無論あるが、それらにおいては国家秘密の保護と国民の知る権利との間でバランスを図っているのが常識だ。ところがこの法案には、そうしたバランスへの配慮が全く見られない。国家秘密の保護が一方的に優先されている。

この手の法律の国際常識は、次のようなことからなっている。保護されるべき秘密の範囲が明確になっていること、秘密の指定が的確であるかをチェックする第三者機関を設けていること、一定期間を過ぎた秘密は原則として公開されること、などである。ところが、安倍政権が出した法案は、何を秘密にするかも秘密、第三者機関としてのチェックは首相が行なう、秘密の期間は60年間とし、それを過ぎた場合でも公開されないことがありうる、というメチャクチャなものだ。

こんなメチャクチャな法律を持っている国は、仮にも民主主義を標榜する国にはない。ロシアにだってこんなひどい法律はないはずだ。これでは今後、他の民主主義国家に対して民主主義の価値を共有するなどと、とてもいえた義理ではなくなる。これは民主主義の精神ではなく、国権主義の精神を体した法律だ。

この法律では、処罰の対象は一般国民にも拡大している。それもかなりな厳罰だ。正当な取材でも処罰される恐れが非常に強い。これでは自由な言論が萎縮することになる。

しかし、こんなひどい法律がたいした抵抗もなく通ってしまうということに、筆者などはうすら寒い気持を抱かざるを得ない。今の自民党には、こんなひどい法律を批判できるだけの良識ある人々が存在していないようだ。自民党全体が右翼政党になってしまったばかりか、野党にも自民党の補完勢力ばかりが目立つ。これでは安倍政権は、やりたい放題の暴走族になるわけである。


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