
1921年に描かれた9点の母子像のうち最も有名なのがこの作品「海辺の母と子(Femme et enfant au bord de la mer )」である。
この絵の中の母親もローマ風の衣装をまとい、裸の赤ん坊を膝の上に乗せて、のびのびと遊ばせている。母親が画面いっぱいに描かれていることもあって、はち切れそうな躍動感を伴っている。
なお、この絵の中の女性オルガ・コクローヴァはロシア将軍の娘で、貴族の血を引くと言われる人だが、ピカソはこの女性と1917年に結婚した。その年に描かれた「肘掛椅子に座るオルガ」の中の彼女は、端正な顔とスマートな体つきを感じさせるが、この絵では、極端にデフォルメされて、端正な美女というよりは、アマゾネスのような逞しさを感じさせる。
(1921年、キャンバスに油彩、143×162cm、シカゴ美術館)
関連サイト:壺齋散人の美術批評
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