安倍さんの心情倫理にも困ったものだ

| コメント(0)
このところ安倍さんの政治手法の強引さが眼を引く。特定秘密法を強引に成立させたことはその象徴的な事例だが、そのほかにも、多くの国民の不安感をよそにした原発推進の姿勢、そして沖縄の米軍基地問題に対する姿勢など、どれも国民への十分な説明を省いて、強引に進めているとの印象を与える。これでは安倍さんは、国民の世論あるいは民意とずれているという感想を持たざるを得ない。

そんな中で今度は、靖国神社に参拝したというニュースが入ってきた。これは国民の民意と言うよりは、世界の民意とずれている。ただ単に中国・韓国との対立を激化させるだけではなく、大事な同盟国であるアメリカの信頼をも失いかねない。小泉政権の時には、小泉元首相とブッシュ元大統領との間で深い信頼関係があったために、靖国参拝も大目に見てもらえたが、安倍さんとオバマ大統領との間にはそんな関係もない。そんな中で日本が、中韓との対立を意図的に高めているかのような行動をとる、そのことについて、オバマ政権が安倍政権に強い不満を持つことは十分に予想できる。

安倍さんにしてみれば、自分の個人的な信念にしたがっただけだ、ということだろう。靖国神社は安倍さんの出身地である長州とは縁が深い。いわば長州藩閥の氏神のような存在だ。そのような神社に対して安倍さんが精神的な一体感を感じて、それにお参りするのは当たり前のことだ、と感じるのは、私人としての安倍さんにとっては勝手なことだろう。

だが公人としての安倍さんには、日本の国益を守るべき立場がある。その立場とは責任倫理に基づくものでなければならない。ところが安倍さんのやっていることは、自分の私的な心情を公的な場に持ち込むもので、これでは心情倫理に流されて責任倫理をないがしろにしているといわれても致し方ないところがある。








コメントする

アーカイブ