「ピエロに扮したパウロ(Paul en pierrot)」は、パウロの4歳の誕生日を記念して描いた作品である。この年にピカソはもう一枚パウロの肖像(闘牛士に扮したパウロ)を描いているが、それを最後にパウロの絵を描くことはなかった。そんなことから、自分の子供といえども、4歳くらいまでのあどけない子どもの姿だけに、ピカソが芸術的な感興を覚えていたことの傍証としてよく言われる。
この絵の中のパウロは、ロバに乗った姿やアルルカンに扮した姿よりも、のびのびとした表情をしている。パウロがピエロに扮していることは、上着に施された刺繍の首飾りからわかる。これをのぞいては、メーキャップをはじめ、ピエロらしさを感じさせるものはない。
(1925年、キャンバスに油彩、130×97cm、パリ、ピカソ美術館)
関連サイト:壺齋散人の美術批評
コメントする