ヨーロッパのロマ人

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ヨーロッパ諸国には合計1000-1200万人のロマ人(ひと)たちが存在している。彼らは一千年前からヨーロッパ諸国に住みつき、差別と虐待にさらされてきた。彼らが最も多く分布しているのはルーマニア、ブルガリア、ハンガリーといった東欧諸国だが、それらの国のロマ人たちがもっとも厳しい境遇にさらされている。そんな境遇からの脱出を図ろうとして、近年西欧の豊かな国に移動するロマ人たちが増えている。そのことで、西欧諸国でも新たなロマ問題が噴出するようになったようだ。

ドイツの雑誌シュピーゲルによれば、最近ルーマニアとブルガリアからドイツに移入して来る人が増加したが、その中には多数のロマ人たちも含まれている。そのロマ人たちが様々な問題を引き起こし、ドイツ政府を悩ませているという。

ルーマニアとブルガリアは2007年にEUに加盟したが、その際、人の移住に制限が課せられた。その制限が昨年いっぱいで切れ、自由な移住が認められると、ルーマニアとブルガリアからの移入者はさらに増え、それに伴ってドイツに移入するロマ人も増えるだろうというので、ドイツ政府はロマ人の移入を実質的に制限する措置をいろいろと考えているようだ。

しかしどんなに制限しても、ロマ人たちの移入は止まないだろう。というのは、ルーマニア、ブルガリア、ハンガリーといった国に暮らすロマ人は、人間以下の境遇にあえぎ、そこで失うものは何もないからだ。彼らは少しでもましな境遇を求めて、豊かな国を目指すだろうというわけである。

ちなみにドイツは、ナチスがロマ人(ツィゴイナー)にもホロコーストを適用した歴史があり、その事実についてメルケル政権は(2012年に)詳細を公表したばかりだが、そうした過去の歴史は現在のロマ人たちとは関係がないといったスタンスだ。(写真と図はシュピーゲルから)

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(ヨーロッパ諸国のロマ人口分布)

(参考)The Plight of the Roma: Europe's Unwanted People By SPIEGEL Staff





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