米議会調査局が日本の安倍首相を批判

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米議会調査局が、日米関係に関する報告書をまとめ、安倍晋三首相の歴史観について「第二次世界大戦やその後の日本占領で米国が果たした役割に関し、米国人の認識と衝突する危険性がある」と懸念を述べた。また、米政府が靖国参拝に「失望した」と声明を出したことは「異例だった」と指摘し、「首相が米国の忠告をあえて無視して靖国を突然参拝したという事実は、両政府間の信頼関係を一定程度損ねた可能性がある」と批判した。

米議会調査局はこれまでも安倍首相の歴史認識をめぐり、中国や韓国との摩擦が増すことを危ぶんできたが、日米関係への直接的な影響に言及するのは初めてのことだ。こうした米議会調査局の指摘に対して、安倍政権は米政府の公式の見解ではないとして軽視する姿勢を見せているようだが、これが米政界に一定の影響力を持つこと、また米政界の共通する見解をかなりな程度反映していることを考えれば、安倍政権のそうした姿勢は有害だといえるのではないか。

この報告書はまた、旧日本軍慰安婦問題についても触れ、韓国系団体の運動によって「米国内でも認知されてきた」とし、安倍政権の対応が注目されると指摘した。この問題については、カリフォルニア州グレンデール市における慰安婦像設置をめぐり、日系住民が市を相手に撤去を求める運動をしている。菅官房長官はその動きを注視しているといって、日本政府としても日系住民の動きを支持するといったニュアンスの発言をした経緯があるが、当のグレンデール市では、市長みずから韓国系住民に肩入れして、日系住民の抗議を相手にしない姿勢を示している。また、その動きを報じている米メディアも、日系人やその背後の日本側の主張には冷ややかな反応を示している。

というのも、先日の日本の国会において、菅官房長官みずから「河野談話」の見直しに言及したことがアメリカ社会にも伝わり、それが安倍政権への批判的な見方を一層強めているようなのだ。こうした動きは安倍政権の歴史修正主義のあらわれであり、それが韓国や中国との対立を一層尖鋭化させ、アメリカの国益にもマイナスの影響をもたらしかねない、とアメリカ側では真剣に憂慮しているフシがある。

こうした動きをみると、安倍政権下の日本は、確実に孤立の度合を深めているという感じをさせられる。

(参考)Japan's Lawmakers Launch Campaign Against 'Comfort Women' Memorials A memorial in the California city of Glendale honoring women in Asia forced to work as sex slaves by the Japanese military in World War II provoked a conservative backlash in Tokyo By Kirk Spitzer TIME







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