アンネ・フランク関連本への蛮行をめぐって

| コメント(0)
最近東京各地の図書館で、「アンネの日記」を始めとしたアンネ・フランクの関連本数百冊が、何者かによって切り裂かれたり破り取られたりする事件が相次いで起きたが、それに対して海外のメディアも強い関心を示している。それらに共通して窺われるのは、これが日本の右傾化を反映する出来事だとする見方である。ここではその一つの例として、TIMEの論調を紹介しておきたい。Hundreds of Copies of Anne Frank's Diary Vandalized in Japan By Kirk Spitzer

この記事は、いままでのところ犯行声明も出ていないし、誰がやったかについて不明だと断ったうえで、右翼分子がやった可能性について指摘している。日本の右翼分子は最近、鹿児島にある神風特攻隊の資料を世界記憶遺産に登録しようとして強い批判を浴びたが、一方、アンネ・フランクの関連資料が2009年に登録されていることに対して腹をたて、その腹いせに行ったのではないかと仄めかしている。

右翼分子の動きが活発化していることの背景には、安倍晋三首相の存在がある、とこの記事は指摘している。日本の右翼分子は、安倍首相の言動に勇気づけられて、過去の日本の行動を正当化しようとしている。NHK経営委員による東京裁判デッチアゲなどアメリカを非難する発言はそのひとつのあらわれだというわけである。

誰がやったかまだ分からない時点で判断するのは早計かもしれぬが、一部のバカ者どものおかげで、日本人全体が色眼鏡で見られるのは心外だ。この記事もその辺のところには配慮していて、これは一部の人間による行為であって、大多数の日本人はこれに心を痛めていると補足している。

ともあれ、警察は早く犯人をあげ、ことの真相を明らかにしてほしいものだ。こういう蛮行が放置されたままだと、日本はますますおかしな方向へと行ってしまう恐れがあるからだ。





コメントする

アーカイブ