天平時代後期の仏像3:唐招提寺金堂盧舎那仏像

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(唐招提寺金堂盧舎那仏像、脱活乾漆造、像高303.0cm)

唐招提寺金堂盧舎那仏像は天平時代後期を代表する仏像といえる。全体に写実的であり、肉付きのよい体躯とふくよかな顔つきに天平時代前期の特徴を引きずっているとともに、体躯には横への広がりが強調され、全体的に沈んだような重さを感じさせるところが、天平の盛期を過ぎ平安時代初期につながる作風を感じさせる。

表情の細かいところにも、天平後期の特徴がよくあらわれている。すわわち、抑揚に富んだ切れ長の目、おおらかな唇、ゆったりとした頬の線などである。

光背は千仏光背といって千体の仏があったものと思われるが、現存するのは864体である。それでもなかなかの迫力だ。

唐招提寺は私寺であるが、その造営については官営の造東大寺使が関わったとされる。この像を作ったのも、造東大寺使の工人たちである。台座には、沙弥浄福、塗部造弟麻呂、物部広足の名が墨書されている。

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