復活するKKK

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先日米カンザス州でおきた白人レーシストによるユダヤ人襲撃事件は、アメリカの伝統的なレーシスト団体KKKの復活を印象付けた。というのも、犯人のフレージャー・グレン・クロスが、KKKの地方組織のリーダーであったことが明らかになったからだ。クロスは自分の行為が正義にかなっているといっており、白人の権利を守ることが自分たちの使命だと、まじめな顔でいっているそうだ。そんなことから、連邦政府では、この事件を連邦法の規定によるヘイト・クライム事案として扱うべきかどうか、検討しているという。

KKKは、かつては米南部諸州に400万人の会員を誇っていた。メンバーには地方都市の市長や警察署の署長も多く含まれていたという。しかし、その反人道的で犯罪的な行為が厳しく指弾され、非合法化されたことで、一時は絶滅したとされていた。それが最近復活し、現在では5000乃至8000人の会員を擁するまでになったらしい。とはいっても、非合法化されているので、公然とした活動はできない。

KKKが復活した背景には、オバマ大統領の登場があるといわれる。黒人が大統領になるような世の中の変化ぶりに、一部の白人至上主義者たちが、堪忍袋の緒を切らしたということらしい。彼らにとっては、黒人やヒスパニック、そしてユダヤ人などはみな、社会の秩序を破壊する異分子だ。したがってこの世から抹殺すべき存在だ。そんな怒りが、今回のような事件の背景にあると分析されている。

レーシズムは、偏狭なナショナリズムの一変形で、ナショナリズムが高まるとどの国でも姿を現す。日本もまた例外ではない。日本は長い間、偏狭なレーシズムとは無縁の社会だと思われてきたが、最近は暴力的な形態のレーシズム運動が見られるようになってきた。これは、社会が病んでいることのあらわれだと受け止めるべきだ。(写真は、2011年ヴァージニア州ポーハタンで撮影されたKKKの儀式の様子:EPAから)

(参考) The KKK Tries to Make a Comeback By Josh Sanburn TIME





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