六ヶ所稼働への米の懸念

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安倍政権が今回閣議決定したエネルギー基本計画には、青森県六ヶ所村の再処理工場の稼働も含まれていた。この再処理工場では、年800トンの使用済み核燃料を再処理し、8トンのプルトニウムを取り出す能力がある。取り出したプルトニウムは、原発で燃料として消費することとなっているが、周知のとおり、その目途はまったく立っていない。これまでに再処理した結果すでに44トンのプルトニウムがたまっており、これに毎年8トンのプルトニウムが加わり続けることになることになるわけだが、これにたいして米側から深刻な懸念が寄せられていることが判ったという。

朝日の4月13日付朝刊の記事によれば、米エネルギー省のポネマン副長官が、昨年四月に訪米した鈴木原子力委員長代理に対して、「プルトニウムを消費する予定のないまま、再処理で新たな分離プルトニウムの在庫が増えることにならないか、大いに懸念している」と伝えたという。これに対して日本側は、ポネマン副長官が日本の再処理に理解があると思っていたため、驚いたそうだ。

いうまでもなく、プルトニウムは核兵器の原料となりうる物質である。だから、原発の燃料とする予定もないままだらだらと蓄めつづけることは、余計な憶測を呼ぶことにつながる。ポネマン氏の反応は、その憶測を正直に述べたものにすぎないともいえる。

そもそも日本がプルトニウムの取り出しを国際社会から認められているのは、原発燃料のリサイクル(つまり平和利用)を国際的に公約しているためである。しかし、その公約を実現できるめども立たない現在、日本にだけ再処理を認める理由がなくなってきている。そんななかで、このまま日本の再処理を容認し続ければ、韓国など他の国からも、プルトニウム取り出しの権利を求める声が大きくなり、ひいては核拡散につながる恐れも出てくる。

こんな事情があるからこそ、米側は日本の再処理再開に懸念を示したということなのだろうが、どっこい、安倍政権にはその声はまともには届いていないようだ。

安倍政権が六ヶ所村の再処理を再開する主な理由は、いうまでもない。核武装のために必要な核物質を確保するためだ。現在でも44トンのプルトニウムを確保しているが、それで十分とはいえない。なにしろ当面の敵である中国13億の民衆を殲滅するのにも、原子爆弾が何発必要になるか。それを考えれば、せっせと再処理を行って、原爆の原料を蓄えておかねばならない。どうも安倍政権はそのように考えて、今回の決定を下したのではないか、と思われても致し方のないところがある。





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