核のゴミ処理を将来世代に丸投げ

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「核のごみ:再回収可能に...処分計画転換、エネ庁部会報告」と題した毎日の記事を読んで驚いた。これは、現在のように核のゴミの処分は永久的でかつ安全な方法でという建前をくつがえして、再利用を考慮した、暫定的なものへと転換するものだ。部会は、この方針転換について、核の再利用についての意思決定の余地を将来世代のために残しておいてやるのだと説明しているようだが、その説明が詭弁に過ぎないということは、そんなに頭を使わなくともわかろうというものだ。

なんのことはない、原発の再稼働に前のめりな連中が、再稼働反対論者の最大の論拠である核のゴミ処理の問題について、これはゴミではなく資源なんですよと言いくるめることで、原発の再稼働をやりやすくする環境を整えようとする意図がミエミエだ。

しかしこんなものが再利用の対象になるなどとは、原子力ムラの住人以外の(あるいは彼らを含めて)、誰も信じないだろう。将来の世代の人々のために、処分を保留しておきますというのは、自分たちの処分の責任を放り投げて、それを後世の世代につけ回しするもの以外の何ものでもない。

核廃棄物の処分に関する標準的な方法は、いまの世界には二つあるだけである。ひとつは、廃棄物を封鎖して地中深く埋め、永久的に無能力化するやり方であり、アメリカを始めほとんどの国によって採用されている。もうひとつは、核廃棄物を再処理して再び燃料として使おうというもので、これは日本が現在採用しているところである。この方法でも、核廃棄物がまったくなくなるわけではない。最終的に残った核のゴミは、永久的に隔離埋蔵されるというのが、この世界での常識である。

ところが日本の原子力ムラは、その常識に挑戦しようというわけだ。核のゴミ処理を将来世代に丸投げして、自分たちは原発の利権にあずかる。そんな了見が透けて見える。







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