安倍・ネタニヤフ会談の意味:嫌われっこ同士の連帯

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イスラエルのネタニヤフ首相が来日し、安倍首相と首脳会談を行った上で、「包括的パートナーシップの構築に関する共同声明」なるものを発表した。それを読むと、「閣僚級を含む防衛当局間の交流拡大、日本による中東和平実現への意向の表明、イランの核問題解決の必要性で一致」などとうたわれている。

イスラエルは、中東諸国と対立してきた歴史があり、現在もパレスティナ問題を巡って周辺諸国との鋭い対立をかかえている。日本はこれまで、そんなイスラエルとは一線を画し、アラブ諸国との間で友好関係を築いてきた。ところが今回の共同声明からは、一歩踏み込んでイスラエルとの協力関係を深めようとする安倍首相の意向が伝わってくる。

核問題では、イランの核開発を一方的に非難するかのスタンスに聞こえるが、イスラエルが核開発を進めてきたことは公然の秘密だ。そんなイスラエルの核開発を野放したまま、イランの核開発を非難するのはダブルスタンダードだとの批判もある(とくにアメリカに対して)。にもかかわらず、日本がイスラエルの核開発には目をつぶったまま、イランの核開発だけを責め続けるのは片手落ちだ、とアラブ諸国には捉えられるだろう。

つまり日本は、防衛上でも核問題でも、イスラエルに一方的に加担するのだというメッセージを発するようなものだ。

安倍首相は何故、こうまでしてイスラエルにすり寄るのか。アメリカへの配慮なのか。イスラエルはいうまでもなく、アメリカにとって最重要の同盟国だ。だから、日本にとっても大切なパートナーだと考えているのだろうか。

イスラエルは中東という地域の嫌われっこになっている。一方、安倍首相の日本は東アジア地域の嫌われっことしての地位を確立しつつある。嫌われっこ同士で連帯しようという発想なのか。

こんな調子では、安倍首相のいう集団的自衛権の行使の範囲が、イスラエルの防衛にも及びそうだ。







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