白鵬の一夜明け会見拒否

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夏場所で29回目の優勝を果たした横綱白鵬が、恒例の一夜明け会見を拒否していることで、様々な憶測が飛んでいる。本人の口からは一切説明がないので、その理由ははっきりしないが、いくつか思い当たるフシがないわけでもないらしく、世間では様々な憶測が乱れ飛んでいるというわけだ。

その一つは、先日行われた講演会での舞の海の発言だ。舞の海は、「外国人力士が強くなり過ぎ、相撲を見なくなる人が多くなった。NHK解説では言えないが、蒙古襲来だ。外国人力士を排除したらいいと言う人がいる」と語ったというのだが、これに白鵬は反発をしたということが考えられるというものだ。

もう一つは、千秋楽での日馬富士コールの件だ。この日、白鵬と日馬富士が結びの一番で対戦したが、かりに日馬富士が勝てば、白鵬と稀勢の里の優勝決定戦になるということもあり、場内は日馬富士コール一色になった。これに白鵬は反発を感じたというものだ。

どちらも、モンゴル人である白鵬に対して、日本の空気が異常に排外的な雰囲気を醸し出しているように見えるわけで、それに白鵬は強い反発を感じたのではないか。とりわけ、舞の海の場合には、NHKの解説者でもあり、本来フェアでなければならない立場でありながら、排外主義を煽るような発言をした、それに対してNHKのほうも何らの反応を見せなかった、つまり容認した、というふうに受け取られても仕方のないところがある。

そこで、世間ではこうした憶測をもとに、様々な言説が乱れ飛んでいるというわけだが、そうした言説の中で、もっともクールに思われたのは、冷泉彰彦氏が日本語版ニューズウィーク(WEB版)に寄せたものだ。(大相撲の伝統を継承しているのは誰なのか?)

この中で冷泉氏は、白鵬が優れた人格者であり、その男が無言を貫いているのはそれなりの美学によるのだろうと好意的に見る一方、舞の海に対しては、かれの現役時代の活躍や、NHK解説者としてのこれまでの言動からして、今回の発言は自分で自分に泥を塗る行為であり、残念だとコメントしている。そして、舞の海がそのような発言をしたのは、講演会の雰囲気に流されたのではないかと同情している。この講演会というのは、右翼団体の主催によるもので、排外主義的な発言が歓迎される雰囲気があったらしい。

また氏は、大相撲が困難な時期に、白鵬が放駒理事長と共に努力した功績を高く評価し、白鵬こそが「大相撲の伝統を継承している」人物だとして、偏狭な排外主義に警鐘を鳴らしてもいる。






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