企業は成長、従業員は過労死:ブラック化する日本経済

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いわゆる「残業代ゼロ」の問題点については、このブログでもたびたび指摘してきたところだが、いよいよ安倍政権が法制化に向けて本格的に動き出した。一定の要件を満たした従業員については、労働時間についての上限を撤廃し、どれだけ働いても、残業代を支払わなくてもよいとする制度の導入だ。これが、導入されれば、将来的にその範囲が拡大していくことが予想され、日本の雇用慣行に歴史的な転換が起こると予想される。

安倍政権は、これを日本経済の成長戦略の一環として導入すると言っている。これが実施されれば、企業にとっては、従業員を際限なくこき使うことが合法化されるわけで、たしかに企業の儲けが増える要因にはなろう。しかし、その反面、従業員は無制約・無際限にこき使われることになるわけで、過労死が蔓延することになろう。

最近、従業員に対して"死ぬまで働け"と要求することを企業理念としていた企業が、"ブラック企業"との批判を浴びたところだが、この制度が普及していけば、そんな批判を気にすることなく、従業員を酷使することができるようになるわけだ。

これでは、日本経済全体がブラック化することになる。企業は成長し、その影で従業員は過労死する。こんなことが果してまかり通ってよいのだろうか。道義的に許されないばかりか、経済合理上でも成り立たないことは、そんなに頭を使わなくとも、理解できないことではなかろう。

一体、国民を不幸にして国が成り立つわけがない。一身独立して一国独立す、とは福沢諭吉の言葉だが、この制度は、一身疲弊して一国滅亡す、といった事態をもたらす。(少子化がますます加速するだろう、そのあげく生産年齢期の日本人はこの世からほとんどいなくなってしまうだろう)

安倍政権は、目先の景気浮揚しか頭にないから、こんなバカなことを思いつくのだろう。









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