50年後に一億人を目標:安倍政権の人口維持政策

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いよいよ現実化した日本の人口減少傾向は、このまま放置しておくと、2060年には8700万人まで減少するだろうとの予測まであるなか、安倍政権がそれなりの危機感を表明し、人口維持政策を打ち出した。6月中にも閣議決定するいわゆる「骨太方針」のなかで、50年後の人口一億人を維持する目標を織り込むというのだ。

しかし、御題目を唱えるだけでは人口の減少傾向は止められない。効果のある政策の実行が必要だ。その政策の柱として、安倍政権は何を考えているのか。

漏れ伝わるところでは、政策の柱は、子育て支援への予算の重点配分ということらしい。具体的には、第三子以降の出産や保育などへの給付を増やすことのようだ。つまり、女性一人あたりの出生率を上げようということで、要するに「産めや増やせや」の安倍政権版といった内容だ。

女性の一人当たり出生率が上がれば人口減少には歯止めがかかるかもしれない。だが、それには出産年齢にある女性がなるべく多く出産できるような条件が整うことが条件になる。いまのように、若者たちがなかなか結婚できない、結婚してもなかなか子どもを生むことができない、というような状態が放置されたままで、政府が女性に三人以上子どもを産みなさいとっても、それに応えられる女性の割合は増えないだろう。

三人以上産みなさいと言う前に、一人でも生みたいと女性やその配偶者に思わせるような政策を実行するのが先決だ。それには、若者たちが結婚しやすい社会づくりや、生んだ子どもを育てやすい条件の整備が先決になる。

そんな当たり前の道理に眼をつぶったままで、女性だけに子どもを「産みなさい増やしなさい」というのはナンセンスそのものだ。

どうも安倍政権には、自分たち政治の責任を棚上げにしたままで、善良な女性たちに子どもを生む仕事を丸投げしようとする意図がミエミエだ。一方では労働破壊を推し進めて若者をますます結婚できないような境遇に追い込もうとしながら、他方では女性に産めや増やせやと強要する。

こんな姿勢では、日本の人口減少化傾向に歯止めはかからないだろう。こんなバカな政策でお茶を濁そうというのは、安倍政権がこの問題をまともに受け止めていないことの証拠だ。






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