ギリシャの極右「黄金の夜明け」

| コメント(0)
150602.Golden-Dawn.jpg

先日のEU議会選挙での極右勢力の躍進に見られるように、最近のEU諸国での極右の伸長が目立っている。ギリシャも例外ではなく、「黄金の夜明け」という極右政党が人々の広範な支持を獲得しつつある。この政党は極右の中でもネオナチを標榜しており、党旗のデザインにもナチスのハーケンクロイツを思わせるイメージを採用している。

この政党は、ネオナチらしく、反ユダヤ主義を党是としている。ギリシャには、反ユダヤ主義の長い伝統があるらしく、第二次大戦中のナチスによるギリシャ占領の際には、そうした反ユダヤ勢力がナチスの手先となってユダヤ人のホロコーストに手を貸した歴史もある。そういういまわしい歴史を誇るかのように、この極右政党は反ユダヤ主義を公然と掲げているというのだ。

しかし、ギリシャ人には標的になる程のユダヤ人勢力が存在するのだろうか。ある統計(The Jewish Federations)によれば、現在ギリシャで生活しているユダヤ人はわずかに5000人という。1900年の時点では173,000人いたとされるから、第二次大戦中のホロコーストによってその大部分が消されてしまったか、あるいはギリシャを見限って逃げ出したかのどちらかなわけである。

だからこの政党が掲げている反ユダヤ主義は、ユダヤ人社会そのものを標的にしたものというより、ギリシャに流入しつつある外国人を標的にしたものだとする見方もある。そうした外国人たちによって、ギリシャ人の仕事が奪われる一方、EUによる厳しい締め付けによってギリシャ経済は極度の停滞を強いられている。そうした恨みが表面化して、ギリシャのナショナリズムを刺激し、そのナショナリズムが排外主義の主張となって爆発しているというわけである。ギリシャの反ユダヤ主義は、そうした排外主義の象徴的な表現なのかもしれない。

(参考)SS songs and antisemitism: the week Golden Dawn turned openly Nazi By Helena Smith (Guardian 写真も)






コメントする

アーカイブ