企業にやさしい国:安倍政権の成長戦略

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安倍政権の成長戦略の柱のひとつは、日本を企業にとって活動しやすい国にすることで、外国資本を導入しようとする戦略だ。企業にやさしい国づくり、と言い換えてもよい。これは二つの政策からなっている。ひとつは労働者をやすくこき使える環境を整えてやること、もうひとつは大胆な企業減税だ。

前者は労働破壊という形をとってあらわれつつある。安倍政権は、労働破壊政策の柱として、残業代ゼロと首切り御免制度の導入を企んできたが、残業代ゼロについては、とうとう法制化の具体的な段取りまでこぎつけたようだ。当面は年収1000万円以上の従業員が対象で、職種を限定しないとしている。しかし、年収要件などはもっとも変更しやすいものなどで、いづれ限度額が次々と引き下げられて、ほとんどすべての労働者がカバーされるようになるのは、時間の問題だと思われる。つまり日本の労働者は、文句も言わずに、無際限無制約に働いてくれる、世界でも例をみないようなお人好しの人種だということになる可能性が高い。これに首切り御免制度が組み合わされば、企業は労働者を奴隷並みにこき使うことができるわけだ。

企業減税については、安倍政権は今後数年以内に法人税率を20パーセント台に下げるという方針を明確化するようだ。しかしそのためには、当然代替財源の手当てが必要になるが、これを増税という形で埋め合わせることは非常に困難だ。そんなことをすれば、せっかく手にした政権を失うことになりかねない。そこでもっとソフィスティケートされた政策がとられることになるだろう。その最大のものは、社会保障財源のカットだろう。社会保障財源のなかでも、なにが一番カットしやすいかといえば、弱い者を対象にしたものだろう。たとえば、生活保護費の一層のカットとか、階層ごとに設けられている各種福祉給付のカットなどである。年金や医療費についても、風当たりの強弱を測りながら、なんとかかっとしようとするだろう。実際医療費については、混合診療制度の導入によって、政府の負担割合を減らそうとする政策を打ち出している。

こんなわけで、安倍政権が続く限り、日本は企業にとってますますやさしい国になる一方、労働者や社会的な弱者にとってはますます生きづらい国になっていくだろう。労働破壊と弱者切捨て、これが安倍政権のトレードマークのようだから。






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