アンナ・ズボロフスカ:モディリアーニの肖像画

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ポーランド生まれの詩人で、画商もやっていたレオポルド・ズボロフスキーとその妻のアンナは、晩年のモディリアーニを何かにつけて支えてやった。1916年に、モディリアーニとベアトリス・ヘイスティングスの関係が破局を迎え、モディリアーニが二人の住んでいた部屋から追い出された時、ズボロフスキー夫妻は、モディリアーニのためにモンマルトルの一角に住む部屋を用意してやり、また自分たちの住まいをアトリエとしてモディリアーニに提供した。

このように、二人は自分たちの生活を切りつめても、モディリアーニが絵を描き続けられるように計らってやったわけだが、それに応えるかのように、モディリアーニはこの二人の肖像画を何点も描いている。これはアンナを描いた1917年の作品だ。

長い首をかしげているところは、確立したばかりの様式に従っているが、顔はなぜかまっすぐになっている。顔までかしげさせると、モデルにあやしい雰囲気が漂うようになるため、モディリアーニはわざとこのようにまっすぐにしたのだろう。それは、アンナに対するモディリアーニの敬意のあらわれといえなくもない。

人物の位置を中心軸上に据え、白いアクセントで顔を浮き立たせているところなども、アンナへの配慮のあらわれかもしれない。

(1917年、キャンバスに油彩、55×33cm、ローマ、国立現代美術館)







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