安倍政権でやりたい放題の官僚たち

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安倍政権が国権的色彩の強い政策を次々と打ち出しているのをよいことに、国家権力の担い手たる官僚たちの攻勢が目立ってきている。秘密保護法の作成過程では、国家秘密と称して、情報を事実上官僚の手に独占することに成功したし、集団的自衛権の解釈見直しの過程を通じては、官僚が外交上の切り札を手にすることに成功した。そして今回は、警察や検察の捜査についての議論を巡って、司法取引や通信傍受の分野で、官僚の権力を更に強化するような動きが露骨に見られる。

法務大臣の諮問機関である法制審議会に、捜査や公判のあり方が諮問されたのは、そもそも冤罪防止が目的だった。冤罪を防止するためには警察や検察による捜査の全面的な可視化が必要だというのが、当初の諮問理由だった。ところが、先日出された答申内容を見ると、可視化の対象は、死刑相当犯罪など重大な犯罪に限るとされ、全体の2パーセント程度にとどまることになった。これに対して、法律の専門家からは、不十分だとする批判が上がっているが、もっと問題なのは、この中に、司法取引と通信傍受を可能にする内容が盛られていることだ。この二つは言うまでもなく、警察や検察の捜査を円滑にするための制度であり、冤罪防止にはつながらない。

つまり、司法官僚たちは、冤罪防止のための措置を考えるよう注文されたのに、それに応える代わりに、自分たちの捜査をやりやすくするための措置を盛り込んだというわけである。これでは、そばを注文したつもりでいたところが、カレーライスを押しつけられた気分になるのも無理はない。そばを打つのは得意ではないので、カレーライスで満足してくれと言われたようなものだ。

官僚たちがこんなに強気でいられるのは、安倍政権の後ろ盾を期待してのことだろう。安倍政権は民主主義よりも国権主義を優先し、国民の人権よりもお国への奉仕を重んじているフシがある。だから、国民の権利を制限して、官僚の裁量権を拡大することにおいては、官僚の利益と安倍政権の政策は齟齬をきたすことがない。そんな安心感があるから、官僚は正面切って、自分たちの利害を推し進めるような態度に出られるのだろう。





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