
(法性寺千手観音像、木造、像高110cm)
法性寺千手観音像は、法華寺十一面観音像と同じく、壇像様式の仏像である。これは、サクラ材を用いている。しかも、合掌手や宝鉢手も同じ材を用いて継ぎ足してある。腕は実際に千本あるわけではないが、一本一本が丁寧に彫られてある。
特徴的なのは、面の様子。通常は十一面のところ、この仏像には本面や両脇面を併せて合計27面もある。これらは今では漆を固めて作ってあるが、当初は本体と同じ木材から作られていたと思われる。
肉厚の体躯や衣文の深い彫りくちなどに貞観彫刻の特徴を感じさせるが、全体的な印象としては、静的で、穏やかな作風である。寺の創建と同じく10世紀に入っての制作と思われる。
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