
(教王護国寺梵天像、木芯乾漆造、像高100cm)
教王護国寺(東寺)は、京都における真言密教の大本山であり、密教美術の宝庫といえるほど、多くの貴重な美術品が残されている。この寺の圧巻はなんといっても両界曼荼羅図であるが、彫刻も天部や明王の像に見るべきものが多い。なかでも梵天・帝釈天像は、その原形的なイメージをもっとも忠実に表現したものとして貴重である。
というのも、東大寺など奈良時代の梵天・帝釈天像の多くが普通の人間の姿をしているのにたいして、これら一対の像は、野性的な雰囲気を漂わせ、鳥や獣の上に乗っている。
梵天像のほうは、四面四臂の坐像で、鵞鳥の上の蓮華座に座った姿である。本面以外の面は、損傷のため後補されたことがわかっている。また台座も近世に補充されたものである。

(教王護国寺帝釈天像、木芯乾漆造、像高106cm)
帝釈天のほうは、衣の下に鎧をつけた坐像で、像の背中に座っている。頭部と体躯の一部が後補とされている。
これら両像は、インド的な特徴が指摘されているが、それは空海が日本に持ち込んだものである。
関連サイト:日本の美術
コメントする