貞観彫刻12:教王護国寺四天王像

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(教王護国寺四天王像のうち持国天像、木造、183cm)

教王護国寺の四天王像も、奈良時代以前の四天王像と比較して、インド的と思われる荒々しさに満ちている。本来普通の表情をしているはずの広目天、多聞天も荒々しい表情をかもし、憤怒相の持国天、増長天に至っては、その荒々しさが並み外れている。

これは持国天であるが、たとえば東大寺戒壇院のものと比較しても、その荒々しさは一目瞭然である。戒壇院の持国天も、邪鬼を踏みつけながら斜め前方を睨みつけているが、この持国天は、両手に武器を振りかざし、背中から憤怒の炎を燃え上がらせ、恐ろしい表情をしながら、足を踏み出して、いまにも敵に襲い掛かろうとする姿に描かれている。その憤怒の表情は、後の仁王像の原形になったと思われる。

なお、この像は、木彫りの表面に彩色を施し、一部に切金文様もまじる。

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