広がるネット売春

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欧米を中心にしたネット空間で買売春のやりとりが広がりを見せているそうだ。典型的なのは、買売春の斡旋サイトを足掛かりにして、供給と需要のマッチングをはかるというものだ。日本の出会いサイトの売春版と考えればよいだろう。ところが、このネット売春を合法化して、むしろ推進した方がよいという考え方があるようだ。たとえば、英誌 Economist は、既存のあらゆる買売春ビジネスに比較して、ネット売春の方がメリットが大きいので、これを解禁しない手はないと主張している。Prostitution A personal choice Economist

筆者のような謹厳居士には俄には受け入れがたい考え方だが、Economist がこのように主張するにはそれなりの背景があるようだ。周知のように、イギリスでは売春自体は合法である。だが、売春宿を経営したり、売春を大々的に宣伝することは非合法となっている。なんとも偽善的なやり方だが、そういうやり方には陰湿な影が付きまといやすい。だが、ネットビジネスを全面的に解禁すれば、そうした陰湿な部分は大部分解消される可能性がある、というのである。

イギリス以外の欧米諸国でも、売春はおおむね合法的である。イギリスと同じように売春宿を禁じる国もあれば、逆に公認の売春宿にのみ買売春の許可を与えている国もある。これは売春防止法制定以前の日本と同じやり方だ。また、スウェーデンのように、売春を合法化する一方、買春を非合法化している国もある。買売春は売るものと買うものが両方いて成り立つのに、買う方だけを非合法化することにどれだけの合理性があるのか、筆者などにはわからない。

先進諸国の中で、買売春に厳しい姿勢をとっているのは、日本とアメリカだ。日本は、表向きは買売春を全面的に禁止しているし、アメリカも、ネヴァダ州以外では買売春は非合法だ。ネヴァダ州では、州政府公認の売春宿が買売春の拠点になっているという。なお、日本が売春防止法を制定したのは女性の保護という理由からだったが、アメリカの場合にはピューリタン的な道徳観念が強く働いているといわれている。

ネット上で買売春がさかんになると、買売春に対する人々の見方は随分と寛容になると推測される。そうした傾向は、日本やアメリカなど買売春を非合法化している国にも大きな影響をもたらすと考えられる。





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