浄瑠璃寺九体阿弥陀像:藤原彫刻3

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(浄瑠璃寺九体阿弥陀像 いづれも木像、漆箔 中尊以外は像高140cm前後)

藤原時代には、九体の阿弥陀像を安置する九体阿弥陀堂が多く作られた。九体阿弥陀とは、西方阿弥陀浄土の九つの相を示すといわれる。これら九体阿弥陀堂のなかでも、道長が造営した法成寺無量寿院のものは、その典型とされたが、現在には伝わっていない。この時代の九体阿弥陀堂のうち唯一伝わっているのが、浄瑠璃寺のものである。

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(浄瑠璃寺中尊阿弥陀如来像 像高224.2cm)

中尊を中心にして、その両脇に八体の阿弥陀像が並んでいる。中尊は来迎印を結び、他の八体はいづれも定印を結んでいる。八体の表情はそれぞれ個性を感じさせるが、中尊のそれは平等院鳳凰堂の阿弥陀如来の表情に似ている。ただ、鳳凰堂のものよりも、幾分肉付きが豊かになっている。その分、勇壮さを感じさせる。

なお、九体阿弥陀堂がさらに発展して千体阿弥陀堂になり、それが変化して千体観音堂となっていった。三十三間堂はその唯一の遺構である。

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