三千院阿弥陀三尊像:藤原彫刻7

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(三千院阿弥陀三尊像、木造・漆箔、像高中尊233.0cm、脇侍各132.0cm)

現在、大原三千院阿弥陀三尊像として知られるものは、明治以前には往生極楽院という寺の本尊であった。往生極楽院は、永治二年(1142)に死んだ高松中納言実衡の菩提を弔うために後室真如房が建立したものであり、明治になって三千院がこの地に移ってくるのにともなって、吸収されたような形になった。

この像が往生極楽院建立の頃に作られたであろうことは、脇侍の勢至菩薩像の胎内に、久安四年(1148)造立の記事があることから知られる。

中尊は堂々とした構えで肉付きも豊かだ。両脇侍は、やや前にかがんでいるが、体つきは豊かに見える。定朝に始まった様式が、法界寺、万寿院と、時代が下がるにつれて次第に世俗化し、この像に至ってそれがひとつのピークに達した、とする解釈が成り立つ。

なお、この三尊像は、阿弥陀来迎を簡略化したものとする見方もある。

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