中尊寺金色堂内の仏像

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(中央檀、木造・漆箔、像高、中尊62.3cm)

中尊寺金色堂内部には、四点柱内と背面庇両端間に計三つの須弥壇があり、それぞれの上に仏像群が置かれている。中央檀が清衡、向かって左(右檀)が基衡、向かって右(左檀)が秀衡の作らせたもので、像は彼らの死の前後に作られたものと思われる。彼らはほぼ30年ごとに死んでいるから、仏像の様式も、この間の60年間における変遷を反映しているとされる。なお、須弥壇の下に彼らの遺体が置かれていることは、先述したとおりである。

仏像配置は、中央に阿弥陀如来、その両脇に観音・勢至両菩薩、外側に二天王と六地蔵という構成になっている(合計33躯)。ただし、右檀の二天王のうち向かって左側が欠けている。また、右檀の阿弥陀如来像は、大きさや様式の点からみて、後世になって持ち込まれたものとされている。したがって、造立時そのままに伝わるものは、計31躯である。

中央檀の諸仏は、清衡の没した大治三年(1128)前後の作である。定朝様式によったもので、全体にゆったりとした印象を与える。ただし二天王は、烈しい動きを感じさせる造りで、定朝様式とは思えない。むしろ右檀の天王像のほうが定朝様式に近い。そんなことから、これは後世に両者が入れ替わったのであろうと推測されている。

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(右檀、木造・漆箔、像高、中尊48.9cm)

右檀の諸仏は、基衡が死んだ保元二年(1157)前後に作られたと思われる。ただし阿弥陀如来像は、後世に他から移入されたものである。

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(左檀、木造・漆箔、像高、中尊65.4cm)

左檀の諸仏は、秀衡が死んだ文治三年(1187)前後に作られたと思われる。阿弥陀如来像は、中央檀の如来像同様定印を結んでいる。また、二天王像は、ほかのものに比べて穏健な印象を与えており、本来はこれらが中央檀にあったのではないかとも推測されている。これを含めて、堂内の諸仏の配置には、後世における移動がかなりあったのではないかと推測されている。

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