佐高信「安倍政権10の大罪」を読む

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佐高信の政経外科シリーズ第16段「安倍政権10の大罪」を読んだ。安倍政権を「タカ派」ならぬ「バカ派」と断ずる佐高が、その数ある罪の中から10の大罪をピックアップし、それらがいかに犯罪的で反国民なものであるかを力説したものだ。

その10の大罪とは、次の如きものである。
1、 アベノミクスというニセ札の発行
2、 消費税増税、法人税減税のアベコベ
3、 "安倍の秘密を守る法"の強行採決
4、 御用作家らによるNHK支配
5、 アメリカに屈服してTPP参加
6、 屈辱の「主権回復の日」を祝う"琉球処分"
7、 オリンピック参加のための"福島処分"
8、 朝鮮学校の「無償化」を拒む罪
9、 96条改変等の改憲志向
10、 こわれたブレーキの公明党を共犯者に

この中には、アベノミクスやTPP参加問題のような評価の別れるイシューも含まれているが、おおむね安倍政権の「バカ派」ぶりを正確に指摘しているのではないか。この中に、内閣による解釈改憲が含まれていないのは、執筆時期との関係だと思うが、もし執筆が間に合っていたら、これが大罪の冒頭を飾っただろうと思われる。

四番目の「御用作家らによるNHK支配」については、筆者などもその効果のほどを感じさせられている者の一人だ。たとえば「ニュースウォッチ9」などは、大越アナウンサーの表情に、上からの圧力を意識したとおぼしき卑屈さが感じられるようになった。また、政府高官の言い分をそのまま垂れ流しにしたり、討論番組でも、世論の実態とは異なる、偏ったメンバー構成にもとづいて、反動的な意見ばかりを大音量で流し続けるなど、アンフェアなやり方が目立つようになってきた。

このからみでいうと、安倍政権による教育介入が進行しているのを見逃すことができない。特に歴史教育について、いわゆる靖国史観の押し付けが進行している。先日も沖縄島部での教科書採択に当り、文科大臣が先頭に立って、育鵬社版の歴史教育の採用を迫ったことが話題になったが、この教科書は、靖国史観にもとづいた歴史認識に立っていることで有名だ。問題は、文科省によるこうした介入が効を奏して、安倍政権登場以前には物の数に入らなかったものが、いまでは五パーセントのシェアを占めるまでになったことだ。この調子で、安倍政権が続いていけば、遅かれ早かれ靖国史観が充満するような事態になっていくだろう。日本の行く末にとっては、由々しいことだと言わねばならない。

例によって、安倍政権以外についても様々な批判を加えている。その中で面白かったのは、竹中平蔵への批判だ。佐高は竹中を「政商」ならぬ「学商」だといって、そのがめつさを指摘している。竹中が規制緩和と称して非正規雇用を拡大した責任者だということはよく知られているが、竹中にはこれを推進する個人的な動機もあった。金儲けである。竹中は規制緩和で人材派遣会社が儲かるように条件を整えてやると、自分自身が大手人材会社の役員になって、一億円の年収を稼ぐようになったというのだ。竹中の悪辣ぶりについては筆者も日頃感じていたところだが、ここまでひどいとは思わなかった。

このほか、立花隆を「稚の巨人」と呼び、長嶋茂雄を「ナベツネのピエロ」と呼び、林真理子を「反吐が出るくらい嫌な女」といい、曽野綾子を「お嬢さん婆さん」と呼んで、それぞれに強烈な毒舌を浴びせている。

毒舌の中でもっとも毒々しいのは、安倍晋三首相に向けられたものだ。佐高は安倍晋三を、一次方程式も解けない男だといって、それが方程式の意味も分からない麻生太郎を副首相にして、ツートップでトンチンカンなことばかりやっていると批判するわけなのである。







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