イスラエルの果てしなき侵略

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イスラエルのネタニアフ政権が、パレスティナのウェスト・バンクの土地約1000エーカーを、イスラエルに併合すると発表した。ネタニアフ政権によれば、これは先日起きたイスラエル人少年三人の殺害行為に対する懲罰だということのようだが、侵略行為であることは明らかだ。ネタニアフ政権は、パレスティナのアッバース政権との間で和平についての交渉をしてきた経緯が、曲がりなりにもあったわけだが、これで和平交渉は行き詰まり、両国関係が悪化することは避けられない。

イスラエルが、こんな侵略行為を平然と行うのは、国際情勢を甘くみているからだろう。シリア情勢が混沌としていることに加え、イラクではイスラム国の無法行為を誰も止められないでいる。ウクライナを巡っては、ロシアによる露骨な侵略行為がまかり通っている。こんな情勢を前にしたら、イスラエルが多少手荒なことをしても、あまり目立たないだろう、と考えても無理はない。

実際、イスラエルの保護国であるアメリカは、こうした侵略行為に対して、表向きは批判しても、実際には放任に近い状態だ。アメリカは、一方でネタニアフのイスラエルによる侵略行為を見逃しながら、プーチンのロシアによるウクライナの侵略に対しては激しい非難をしている。しかし、それが説得力を持たないのは、誰もがそこにアメリカのダブル・スタンダードを嗅ぎ取るからだ。

イスラエルのパレスティナ侵略は、まだ70年の歴史しか持たない。70年などという時間は、人類史のスケールから見れば、ほんのちょっとの間だ。そのほんのちょっとの間に、イスラエルはたまたまパレスティナに対して非対称的な優位にあったために、好き放題なことをしてこられた。しかし、そんな非対称的な関係が、未来永劫に続くとはかぎらない。

かりに、イスラエルとパレスティナの間の非対称的な関係に変化が起きて、パレスティナがイスラエルと同等か、あるいは優位に立つような時が来ないとは、誰にもいえないだろう。そうなった時に、イスラエルにどんな運命が待ち構えているか。冷静に考えておく姿勢が大事だ。






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