安倍・モディのハネムーン

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インドのモディ首相が初の外遊先として日本を選んだことに対して、安倍首相が最大限の礼儀を尽くして「おもてなし」をした。京都の観光旅行にお付き合いをしたり、一緒に夕飯を食ったりもした。その様子をテレビで見ると、まるでハネムーンのようである。ある意味、オバマの時以上のおもてなしぶりだ。

マスコミはこれを、両者が気の合う関係にあるからだと忖度している。たしかにそういう側面もあるかもしれない。しかし、それ以上に重視すべきは、日印関係の歴史だ。日本は中国・極東や東南アジアを侵略した歴史をもつが、インドを侵略することはなかった。それどころか、チャンドラ・ボースの対英独立運動を支援するなど、プラス志向の関係でこられた。だから、他のアジア諸国とは違って、日本はインドと前向きな関係を結びやすいのである。

安倍首相は、この機会を、中国包囲網の深化に役立てたいと考えているようだ。できれば、それに加えて経済関係の結びつきも深めたい。なにしろインドは、12億の人口を擁し、中国に迫る勢いを持つ国だ。これを経済的に取り込むことができれば、日本経済にとっても望ましい。

一方、モディ首相のほうは、中国包囲網の片棒を担ぐつもりはないようだ。インドは中国との間で領土紛争を抱えており、それが主な原因となって、軍事的な対立を重ねた歴史を持つが、だからといって、中国を公然と敵視する政策をとるのは、国の発展のためには得策でない、と考えているらしい。

モディ首相が、日本との間で深めたいと思っているのは、経済的な結びつきだろう。日本からの投資に期待する一方、日本の高い技術をインドに導入したいと考えているようだ。これに対しては、安倍首相の方も、モディ首相を日本の経済界のトップに引き合わせてやったりして、この期待に応えてやった。

だが、日本企業のインド進出には様々な壁があるといわれている。その最大のものは、市場の閉鎖性だろう。この閉鎖性にはさまざまな構造的要因があるが、その最たるものはインド社会を分断している身分格差だといわれる。この身分格差が、身分の低い者への侮蔑を合理化する作用をもたらし、それがもとになって、最近世界中をぎょっとさせたレイプ事件の頻発というような事態をもたらしているということらしい。

だから、インドが国際的に魅力ある市場と認定されるためには、レイプが頻発するようであってはならないといえるだろう。いまや、女性が企業戦士として期待されるような時代だ。そんな時代にあって、女性がレイプの危険を絶えず心配しなければならないようでは、その国は外国人をひきつけることはできないだろう。





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